温泉が出来てから、しばらくが過ぎた。
まだ寒い季節が続き、魔法使いや妖怪がよく温泉を利用するようになった。
そのせいか、宴会をすることがが少し増えた。
霊夢は宴会の準備のために、珍しく山へ出かけた。
冬の忘れ物
「あ〜!久しぶりの人間だわ〜!」
霊夢が山を飛んでいると、冬の妖怪、レティ・ホワイトロックの声がした。
レティは嬉しそうに霊夢の元へと飛んできた。
「最近誰も来なくて暇なのよ。神社の方にも行けなくなったし。」
「ああ〜…温泉が出来たから?」
霊夢はたいしたことのないように答える。
「温泉?何それ。」
レティは首をかしげる。冬の妖怪だから知らないのか。
「自然に出来た風呂みたいな物よ。最近神社の近くに出来たの」
「ええ〜。それじゃ私不利じゃない」
レティはがっくりと肩を落とす。
「そうね。もう冬なんて怖くないわね」
霊夢はレティとは逆に、自慢気に笑う。
「そんなものが出来たら近づけないしなぁ〜。私は誰を襲えばいいのよ?」
「山に来た人間でも襲えばいいじゃない」
「そんなの巫女みたいな人だけじゃない。」
霊夢の適当な答えに、レティは怒る。
レティは妖怪としては弱い方で、よく霊夢や魔理沙に退治されてしまうのだ。
冬が来るたびに、退治していたのを霊夢は思い出す。
「私は、周りの温度を下げてるだけで何も悪いことしてないのに。」
「人間にとってはそれが迷惑なんだけど」
いつの間にか霊夢は、レティの話につき合わされていた。
レティはただ話をするだけだった。
それに付き合うくらいなら、構わないと霊夢は思っていた。
「そうなの?でもそれしか私楽しいことないからなぁ〜」
「それで私はあんたを何回退治したかしら。」
「ううっ…人間って本当にひどいわよねぇ」
「それを私に言うか…」
レティと話している間の時間はただ流れていくだけ。
霊夢は日が暮れかけているのにようやく気付いた。
「ちょっと、そろそろ帰ってもいいかしら?」
「ええ〜」
レティはまだ付き合って欲しそうで、帰ろうとする霊夢を引き止めた。
「私、本当は宴会の準備で来たんだからね。」
「宴会?いいなぁ〜」
「温泉の近くでやるけど?」
「私行けないじゃない。」
宴会と聞いて行きたそうなレティだったが、霊夢が場所を話すとムスッと不満を募らせた。
「じゃあね。また今度退治しに行ってあげるわ。」
「本当にひどいわ、人間は〜」
霊夢は神社の方へ飛び去っていった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
地霊殿で温泉が出来てから、ふと思ったのがレティさん。
温泉とかダメなんじゃね?とか思って書いてみた。
レティさんは退屈そうだよなぁ。