「さて、陽介。隣で寝てくれるって言ったよな?」
「あ、いや…分かってるって。」
奏魔が表情だけで脅してる。
俺は従うしかなさそうだ。
一日限りの生活3
深夜12時。
外は星空が見えるほど雲がなく、マヨナカテレビが映るとは思えない天気だ。
クマは押入れで先に寝てしまった。
布団は当たり前のように一つしか用意されていない。
奏魔は布団に先に入って俺を手招きする。
俺は窓から星を見て先に奏魔が寝ちゃわないかなー、とか考えてる。
いざ、布団まで用意されると恥ずかしいだろ…。
近くに寝るだったら、いいんだよ、うん。
けど、一つの布団に二人で寝るだぞ!?
狭いし、奏魔と、だなんて…なぁ。
「陽介、早くしろ。」
「え、ああ…。」
先に寝るということはないようだ。
そしたら、もう覚悟を決めるしかねぇじゃん。
「奏魔さ…、へ、変なことするなよな!」
「陽介、俺を何だと思っているんだ。」
「わ、悪い…。」
もぞもぞと布団に入り込む。
入るといきなり奏魔が俺を抱きしめる。
「奏魔!?」
「いいだろ…ずっと一人だったんだから。」
「そうだよな…寂しかったんだよな。」
奏魔がさらに力をこめる。
「奏魔、ちょっと痛い。」
「悪い。」
放してもらった。
少し物足りない気がした。
「…先に寝ろよ。お前の寝顔が見たい。」
「いや、全然眠れそうにないんだけど。」
「緊張してるからか?安心していいぞー。」
「おまえ、ときどき馬鹿だよな。」
「…そうか?」
「長瀬と同類とまでは言わないけどさ…。」
その後もずっと他愛のない話をしていた。
先に寝たのは俺みたいで、奏魔が翌朝第一声に
「お前の寝顔が見れて幸せだった」
と笑顔で語った。
今度はこいつの寝顔を見てやろうと思ったね。
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やっと一つのネタが完結しました。
なんだか、甘えたがりになっていました。
菜々子ちゃんという癒しがいなくなったら、嫌だよね。