菜々子ちゃんが、犯人にさらわれてテレビに入れられた。
テレビに入れられたってことは、心の中の世界が映し出されるというわけだ。
天国のような綺麗な場所を見た俺達は、呆然とした。
 
美しすぎる世界で
 
「菜々子ちゃんは天使のような子だからね!」
何故か、兄代わりである奏魔が誇らしげに胸を張る。
胸を張るべきは堂島さんじゃないか?
「天国ってことは、やっぱりお母さんが…」
奏魔以外は、不安そうに楽園への扉を見つめる。
「菜々子ちゃんは、もう吹っ切れたはずだけど。」
「でも、やっぱり心のどこかではお母さんのこと気になってたんじゃないかな?」
「…いや、それも含めて菜々子ちゃんは吹っ切れてる天使のような子だよ!」
「だから、なんでお前が誇らしげなんだよ。」
俺がツッコむと、奏魔は恥ずかしそうに笑う。
本当に菜々子ちゃんが好きなんだな…。
「さ、早く菜々子ちゃんを助けようか。陽介と完二と直斗くんはこっちに来て。」
奏魔が刀を構える。
完二も直斗もそれぞれ武器を構える。
「さっさと助けましょうか!」
「早く行きましょう。」
「じゃ、行きますか!相棒!」
俺も双剣を構える。
奏魔は楽園に向かって走り出した。
 
「しっかし、菜々子ちゃんの世界はいいな。落ち着く。」
「そうですか?僕は不安ばかりが大きくなるのですが…。」
直斗が不安そうに奏魔を見る。
奏魔は呑気に剣を振り回していた。
「もう、あんなゲームの世界は嫌だ。ついでにサウナとか地下基地にもいい思い出がない。」
完二と直斗が目を伏せる。
奏魔はそれに気づかずに続ける。
「こんな綺麗な世界が癒しだよ…。」
「お前、ゲームの世界んとき、結構楽しそうだったじゃんかよ。」
「最初だけだよ。最後怖かった。」
「そういや、お前最後なんかの音にびびってたもんな。」
ゲームの世界の後半で、無理やり方向を変えられる場所があった。
最初、俺達はそれに気づかず、ただそのときの音にびくりとしていた。
特に奏魔が。
「それは陽介もだろ。僕にくっついてきたじゃないか。」
「あ、いや、それは…。」
「あー、二人して抱き合ってビビってたっすね。」
完二が俺達をからかう。
「や、やめろよな!もう!」
「確かにあの時は最高の思い出だったが、今はそんな話をしている場合じゃない!というか菜々子の世界であんな世界の話はしたくない!確かに…いい思い出だったけどな!」
「どさくさにまぎれて何言ってんだよ、奏魔!」
「抱きつかれるとか最高だろ!陽介ちょっと涙目だったし!」
なんかのスイッチが入ったのか、暴走する奏魔。
とりあえず奏魔を押さえることにした。
このままじゃ何いうかわかんねぇし!
「落ち着けって、奏魔!」
「あのー…。」
直斗がおずおずと手を上げる。
「早く菜々子ちゃんを助けに行きませんか?」
落ち着いたのか、冷めた奏魔はうなずいた。
「そうだな…。」
 
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―こいつらは何を言っているんだろうか。
ペルソナ4初小説だというのに、ギャク調になってしまいました。
最初は菜々子ちゃんの世界はすばらしいよね、という話をしたかったのですが、気づいたら久保の世界の話をしていました。