授業中、鳥海先生の話を聞きながら、ふと隣を見る。
順平は寝ていた。
そんなんだから、赤点ぎりぎりなんじゃないかなーと思うが、気持ちよさそうに寝ている気がしたので邪魔しないでおいた。
鳥海先生にばれたら反省文とケーキを要求されるのだと、友近が言っていた。
だが、鳥海先生は寝ている順平に気付くことなく授業を進めた。
…実は友近にしか要求されていない、とか?
 
悪戯返し
 
授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、教室がざわつき始める。
こんなにうるさいのに、順平は起きる気配がない。
現国の教科書を持って、順平の頭をたたく。
そんなに厚みもないし…いいよな。
「ほら、お昼だぞ」
「いってぇ!」
スコンといい音がした。
順平は頭を抱えて蹲ってしまった。
それからがばりと起き上がり、頭を抱えながら僕に怒る。
「…おまえなぁ、もっと優しく起こせねぇの!?」
「あはは、ごめん。順平だからいいかと思って。」
やっぱり痛いんだー…と後悔したけど、笑って誤魔化す事にした。
「よくねぇよ!…ったく」
諦めたのか順平はため息をついた。
僕は教室の扉に手をかける。
「ほら、下行こう。」
「お、もう昼かー!よっしゃ、行こうぜ!」
順平はもう機嫌を直していた。
頭の痛みは引いたのかな。早いな。
 
その後、一週間くらい経ったある日。
江古田先生の授業が続く。
あまりの疲れに僕は、睡魔に勝てず眠っていたらしい。
「おいこら起きろ」
「いたっ!」
チャイムの音が聞こえても僕は眠り続けていたらしく、順平が古文の教科書で僕の頭を叩いた痛みで目が覚めた。
頭を抱えたまま顔を上げると、にやりとしてやったりな表情の順平がいた。
「どうだ?目覚めたか?」
「痛いね、これ…。」
「だーから言ったろ?教科書いてぇんだって。」
順平は楽しそうに笑うが、古文って現代文より厚みあるんだが…。
「しっかし、八加もぐっすり寝ることあるんだな。チャイム鳴っても起きねぇんだもん。」
「疲れてたんだって…痛いし…。」
ぐだーっと机にうつ伏せになる。
頭の痛みはまだ引かない。
「悪かったって!ほら、はがくれおごってやるからさ」
「その前に昼飯をおごって欲しいけど…いいや、はがくれで」
「よっし!じゃ、まずは購買だな!」
順平が勢いよく教室の扉を開ける。
 
放課後、順平がはがくれをおごってくれた。
つか、八加もおごるべきじゃね?と順平が言うので、僕もおごることにした。
互いにおごっても大して意味はないよね。
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漫画などでありがちな叩かれネタ。
順平も八加も寝てばかりいるので、やってやりかえし。
実際好きな先生の授業は寝てません。
鳥海先生とか小野先生とか。
江戸川先生は寝ると、のろわれそうですよね…。