順平はタルタロスに行って、翌日に疲労して風邪もこじらせる。
「順平ってさ、実は病弱?」
「うっせ、たまたまだ。」
寝込む順平を看病しながら、不思議に思った。
 
病弱ですか?
 
順平の脇に挟んでいた体温計がピピと鳴ったので、順平からそれを奪う。
「38.3度…。とりあえず安静にしてなよ。」
「分かってるよ…。」
氷水でタオルを冷やして順平の額に乗せる。
「うわ、あつ…。」
「お前、今日はタルタルどうすんだ?」
「行かないって皆に言っておいた。僕も外に出る予定はないし、順平をずっと看てるよ。」
「…いいのか?」
「順平が心配なんだからいい。ほら、ちょっと待ってて。おかゆ作るから。リクエストは?」
「八加に任せるぜ。」
「ん、分かった。」
順平が安心したように眠る。
音を立てないようにそっとドアを閉める。
 
「おまえ、何やってんだ?」
キッチンで作り始めようとしていたら、荒垣さんが近くのテーブルに座る。
「おかゆを作ろうかと。」
「ああ、順平にか?」
「そうです。意外と病弱ですよね、あいつ」
それなら、と荒垣さんが立ち上がる。
「うまい作り方教えてやるよ。」
「自分で作る、じゃなくて?」
「お前が作ったほうがあいつも喜ぶだろ。ほら、さっさと準備しろ。」
荒垣さんが調味料を取り出し始めたので、僕も鍋の準備をはじめた。
 
「順平ー、出来たよー」
ドアを器用に開ける。
その音で目が覚めたのか、順平はゆっくりと起き上がる。
近くにテーブルを引っ張り、おかゆと薬を置く。
「おおー…すげぇうまそうじゃん、それ。」
「少し荒垣先輩に教えてもらった。」
「それなら期待だな!」
荒垣さんの料理がおいしいのは、数日前に荒垣さんが手料理を皆に披露した事で分かっている。
順平は上機嫌でおかゆを食べ始める。
一口食べるたびにうめぇ!って騒ぐもんだから、何だか僕まで笑ってしまう。
おかゆはすぐになくなった。
器を置いたと同時に僕は薬を渡す。
薬を見た途端に、順平は嫌な顔をする。
「はい、薬」
「うわ…早すぎね?」
「早く飲みなよ、水あるんだから」
「へいへい分かったよ。」
順平は僕から水を奪うと、薬を一気に飲んだ。
「はぁ…飲んだぞ、八加」
「じゃ、片付けてくるから。寝てろよな。」
器と空のコップを持って、ドアを出ようとすると呼び止められた。
「八加。」
「どうしたの?」
「今日は、ずっと看病してくれるんだろ…?」
寂しそうに呟いた彼を見て、僕は病人って寂しがり屋になるんだよな、という話を思い出した。
順平は滅多にこんなこと言わないから頼られてる気がして何だか嬉しくなる。
「いるよ、今日はずっと。すぐ戻るから待ってて。」
そういうと順平は、安心したのかまた寝てしまった。
今度は僕が上機嫌で部屋を出た。
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時間軸は荒垣さんがいるので9月くらい。
本当はP3Pでよくあった現象なんですけどね。
ハム子じゃなくキタローでやることに。
何で順平だけが疲労どころか風邪になるんだ…。